数あるオーディオメーカーの中でも、優れた音質ながら低価格路線を進めるSOUNDPEATSから、2022年の最後を飾るのにふさわしい完全ワイヤレスイヤホン『SOUNDPEATS Capsule3 Pro』が発売されました。
販売価格は8480円と完全ワイヤレスイヤホンの中では手頃ながら、ハイレゾ対応コーデックである「LDAC」を搭載し、日本オーディオ協会のハイレゾ認証もきっちりクリア。ハイブリッド式のアクティブノイズキャンセリングや最大52時間のロングバッテリーに加え、風切音軽減機能も搭載。
この記事では『SOUNDPEATS Capsule3 Pro』を実際に使用した感想をレビューします。低予算でも音質とノイキャン性能に妥協したくない方は是非参考にしてみてください。
SOUNDPEATS Capsule3 Pro の基本情報
SOUNDPEATS Capsule3 Proは、2022年12月26日に発売された完全ワイヤレスイヤホンです。販売価格は8,480円で、Anker Soundcore Life P3(8,990円)やJVCケンウッド Victor HA-A30T(8,791円)あたりが比較対象ですが、いずれもアクティブノイズキャンセリングを搭載しながらも、ハイレゾに対応しているのはSOUNDPEATS Capsule3 Proだけ。
製品仕様
サイズ・重量 | ケース:50.07 × 67.31 × 25.9mm |
重量 | イヤホン片耳:約5g / ケース込み:約48g |
音楽再生時間 | イヤホン単体:最大8時間 / ケース併用で最大52時間 |
ドライバー | 12mmダイナミックドライバー(バイオセルロース振動板) |
ANC | ハイブリッド式アクティブノイズキャンセリング |
外音取り込み | 〇 |
片耳再生 | 〇 |
防水防塵性能 | IPX4 |
対応コーデック | AAC、SBC、LDAC |
充電ポート | USB-C |
Bluetooth | 5.2 |
仕様を詳しく見ていきます。IPX4の生活防水を備え、コーデックはLDACのほかにもAACとSBCにも対応。LDAC未対応のiPhoneでも高音質なAACが使えるので安心です。バッテリーはイヤホン単体で最大8時間、ケースと併用することで最大52時間もの超ロングバッテリーに。通勤・通学で使うカバンに入れっぱなしでも、1週間以上バッテリーが持つ計算です。
ノイズキャンセリングは内側と外側にNC用マイクを備えた、いわゆるハイブリッド式アクティブノイズキャンセリングとなっています。マイクが外側だけのノイキャンに比べ、耳の中でさらに音を打ち消すため、高いノイズ除去性能が期待できる方式です。ほかにも、外音取り込みや片耳再生にも対応し、ANC用マイクの位置は風切り音対策のため最適化されています。
ドライバーには、植物由来のバイオセルロース振動板を搭載した12mmのダイナミックドライバーを採用。拡がりある自然な音の響きが楽しめるとされています。ワイヤレス充電やマルチポイント、耳検知機能には未対応ですが、価格を考えると十分すぎるスペックと言えるでしょう。
付属品も見ておきます。充電用のUSB-C充電ケーブルとイヤーピース(S/M/L)、日本語の取扱説明書のみと至ってシンプルでした。
外観とデザイン
SOUNDPEATS Capsule3 Proの外観をチェックしていきます。黒をベースに、グリルデザインのローズゴールドラインが特徴的です。ハウジングの素材はプラスティック感があるので、近くでよく見るとチープさは否めません。昔からSOUNDPEATSのイヤホンは、ハウジングにお金は掛けず、性能で勝負している感じがありますね。
ケースもイヤホンと同様の素材が使われていますが、ローズゴールドのブランドロゴにより、全体に華やかがプラスされています。コンパクトサイズで軽量なので、持ち運びで困ることはないでしょう。
サウンドクオリティをチェック
さて、肝心の音質はどうでしょうか。今回も1週間以上掛けて実際に使用し、じっくりチェックしました。結論としては「素晴らしい」の一言。日本オーディオ協会のハイレゾオーディオワイヤレス認証を受けた製品であるため、性能は折り紙付きです。
Official髭男dismのウィンターバラード『Subtitle』をハイレゾ音源で聴いてみると、一瞬で同価格帯の完全ワイヤレスイヤホンでは太刀打ちできないサウンドであることが分かりました。冒頭のボーカルが息をのむ音がクリアに聴こえ、どこまでも響くピアノが音場の広さを物語ります。特筆すべきは低音域の解像度です。『Subtitle』では沈み込むようなサブベースノートがかっこいいんですが、まさかこの価格帯のイヤホンで味わうことができるとは思いもよりませんでした。
SOUNDPEATS Capsule3 Proのデフォルトの音質は、低音域~高音域にかけて原音に忠実な、フラット寄りのサウンドです。音質が気になる方は、専用アプリからイコライザーを調整して自分好みのサウンドに仕上げるとよいでしょう。
一方、ハイレゾに対応していないiPhoneではどうでしょうか。iPhoneの場合、音源はApple MusicのロスレスオーディオとAACの組み合わせで、同じくOfficial髭男dismの『Subtitle』を聴いてみます。AACはApple Musicのロスレス音源をそのまま転送することはできませんが、筆者の耳には十分すぎる音質でした。20Hz – 40kHzの音域をカバーできる高性能なドライバーユニットにより、ハイレゾ未対応の音源であっても余力があるんだろうな、と思います。
1点、注文があるとすれば音の分離感がもう少し欲しいかな、というところです。これはLDACでもAACでも同様の感想。ただ、このクオリティのANC付きイヤホンが、8千円台で買えてしまうことには仰天です。まさに価格破壊と言ってもいいレベルなので、予算を抑えつつも音質に妥協したくない方にはオススメしたいイヤホンです。
コントロールと使い勝手
SOUNDPEATS Capsule3 Proのコントロールはタッチ式です。ローズゴールドのブランドロゴ部分がタッチセンサーになっており、タップする回数によって色々な操作が行えます。タッチ式は位置調整しようとした際の誤操作が気になりますが、自然にステム部分と上部の黒いハウジング部分をつまむ感じになるはずなので、慣れてしまえば誤操作することはないでしょう。
操作は専用アプリ「SOUNDPEATS」からも行えます。イコライザー調整やANCモードの切り替えのほか、低遅延なゲームモードのOFF/ONも行えます。機能としては、有名メーカーのように追加機能が様々あるという感じではないですが(使うかどうかは別として…)、逆にシンプルなUIであるため、操作で迷うことはないでしょう。
メリット・デメリット
メリット・デメリットを纏めると以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
ハイレゾ・LDACコーデック対応 ハイブリッド式アクティブノイズキャンセリング 最大52時間の超ロングバッテリー 風切音軽減対策(マイク位置を最適化) Bluetooth5.2 | 自動耳検出未サポート ワイヤレス充電未サポート マルチポイント未サポート |
SOUNDPEATS Capsule3 Pro最大のメリットは、やはりLDACコーデックによるハイレゾ音源サポートです。ほかにもこの価格ではありえないスペックとなっていますので、アンダー9,000円の完全ワイヤレスイヤホンの中ではトップクラスの性能と言ってよいでしょう。
一方、自動耳検出機能やワイヤレス充電、マルチポイント接続については未サポートです。これらの機能が外せないという方は、1万円半ば~2万円くらいの予算で考えるとよさそうです。
まとめ:予算を抑えつつも音質とノイズキャンに妥協したくない方はいますぐポチろう
2022年もあと数日というタイミングで、とんでもないコスパモンスターが登場しました。1~2年前まで、この価格帯のイヤホンで音楽ファンの耳を満足させるレベルのものは無かったはず、なんですが…。ソニーのLDAC技術がオープンソースとして広く公開されている恩恵があるものの、この価格に落とし込んだSOUNDPEATSさんの企業努力に惜しみない拍手を。
以上、ベア三郎でした!
コメント