皆さん、こんにちは。音楽大好き家電製品アドバイザーのベア三郎です。
2022年11月に発売されるや否や、コストパフォーマンスを重視する音楽ファンから圧倒的な支持を集めてきた「Victor(ビクター) HA-FX150T」。
多くのプロミュージシャンが名曲を生み出してきた「ビクタースタジオ」のエンジニアが音質を監修し、従来モデルである「HA-FX100T」をアップグレード。ハイエンドクラスに匹敵する音質を備えながらも、AirPods Proに比べると約半値というコストパフォーマンスの高さが魅力です。
より手に取りやすくなったとはいえ、実売価格1万円後半という価格のため、「本当に価値あるイヤホンなのか」気になる方も多いのでは。
そこでこの記事では、年間多くのイヤホンをレビューしている筆者が、Victor HA-FX150Tについて徹底レビュー。実際に使って分かったメリット・デメリットについて、忖度なく紹介します。購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください!
Victor HA-FX150Tの特長と概要
主な仕様
老舗メーカーであるJVCケンウッドより、Victorブランドとして発売中のHA-FX150Tは、軽量・コンパクトながらも高音質、ノイズキャンセリング機能と外音取り込み機能を搭載し、低遅延モードや高音質なハンズフリー通話も備える高機能モデルです。
項目 | 詳細 |
---|---|
型名 | HA-FX150T |
カラー展開 | -B(ブラック)、-N(ブロンズ) |
種類 | 密閉タイプ |
ドライバーユニット | 口径6mm |
通信方式/出力 | Bluetooth®標準規格 Ver.5.2 / Power Class 1※4 |
対応コーデック | SBC / AAC |
対応コンテンツ保護 | SCMS-T方式 |
電池持続時間※1 | ノイズキャンセリング OFF:イヤホン最大9時間 充電ケース最大12時間(計最大21時間) |
電池持続時間※1 | ノイズキャンセリング ON:イヤホン最大7.5時間 充電ケース最大9.5時間(計最大17時間) |
充電時間※1 | イヤホン約2時間、充電ケース約2.5時間 |
質量 | イヤホン(片耳)約4.4g、充電ケース約29.2g |
付属品 | スパイラルドットProイヤーピース(S/MS/M/ML/L)各2個、 充電用USBケーブル、充電ケース |
Victorブランドの特徴は、「独創を究める(Pursue ultimate originality)」ことにあり、オリジナリティ溢れるものづくりを目指すとされています。
特長① 小型・軽量で使いやすいデザイン
カラーラインナップは、スタジオ機材をイメージしたという「ブラック」とスタジオ照明をイメージしたという「ブロンズ」の2色展開です。ケースとイヤホンのハウジングには、ビクターならではの「ニッパー君」が大きく描かれています。
片耳当たり、わずか4.4gと軽量で、さまざまな耳の形に合わせて選べるようにイヤーピースは5サイズ付属。バッテリーはノイズキャンセリングON時でも最長7.5時間、充電ケースを併用すると最長9.5時間の音楽再生が可能に。毎日の通勤・通学でうっかり充電し忘れても数日はへっちゃら。ケースもわずか29.2gの軽量・スリムなデザインで、上着のポケットに余裕で収まるサイズ感です。
操作はタッチセンサー式で、軽いタップでスムーズに反応します。タッチだけで、さまざまな操作に対応しており、使いこなせれば快適になりそうです。
特長② ビクタースタジオが監修したこだわりの音質
HA-FX150Tで注目すべきは、その音質です。音楽制作現場「ビクタースタジオ」のエンジニアが音質監修しており、その品質は折り紙付き。新たに6mm口径のドライバーユニットやメタルプレーティングチャンバーを採用し、繊細で伸びのあるクリアな音と広い音場を実現。
また、同社のハイエンドモデル「HA-FW1000T」と同じ「スパイラルドットProイヤーピース」が付属。イヤーピース内壁に配置したスパイラル状にドットにより、反射音を抑えられ、より明瞭なサウンドになるとのこと。
さらにユニークなのが、ビクタースタジオのエンジニアがチューニングした独自のサウンドモードです。HA-FX150Tのために、特別に用意されたというサウンドモードは、専用アプリまたはタッチ操作にて利用できます。
「PROFESSIONAL 1/2/3」と名付けられたサウンドモードは、それぞれ特徴が異なり、ジャンルやシーンに応じて使い分けができるようになっています。
モード名 | 特長 |
---|---|
PROFESSIONAL 1 | ボーカルが聴き取りやすく、どんな音楽でも歌の印象が際立つ設計 |
PROFESSIONAL 2 | 音場の広がりを感じられ、明瞭でクリアな音。古いジャズやポップスもリマスターされたように蘇る |
PROFESSIONAL 3 | 80年代~90年代のロック音楽が引き立つ抜け感のあるサウンド。当時の録音機材の特徴に合わせた周波数帯域の調整が施されている |
現場のプロフェッショナルな音響知識を活用することで、 細かいニュアンスにこだわり抜いたというHA-FX150T。Victorならではの「心地よい音」が実現したとされており、否応なしに期待が膨らみます。
音楽制作まで行っているVictorならではのアドバンテージ!!
特長③ 細部の音にこだわった独自のノイズキャンセリング技術
周囲の雑音を低減するノイズキャンセリング機能は、実用的である反面、どんなイヤホンでも多少は音質に影響するものです。
HA-FX150Tでは、そんなノイズキャンセリングの悩みに注目し、音質の変化が最小になるように作りこまれているとのこと。電車やカフェなどの騒がしい場所でも、音のディテールが損なわれず、音楽に没頭できるとされています。
また、そのほかにもイヤホンを付けたまま会話ができる「外音取り込み機能」、さらに高音質となった「ハンズフリー通話機能」、ゲームや動画視聴にぴったりな「低遅延モード」を備えるなど、従来モデルである「HA-FX100T」から大きく進化しているといえます。
実際に試してみた
「原音」を知り尽くしたビクタースタジオのエンジニアが音質監修しているとのことで、否応なしに期待が高まります。ちなみに原音とは、音楽制作過程において、エフェクトや編集が加えられる前の音を指します。つまり、各楽器から出た生音の状態です。
どこまでもクリアで、繊細なサウンドが楽しめる
YOASOBIの「セブンティーン 」でその音質を確認してみます。スマホアプリの音質設定は「FLAT」で確認しました。
YOASOBIの「セブンティーン」は、直木賞作家・宮部みゆきの書き下ろし小説が原作のポップチューン。音数が多くドライブ感に溢れ、歯切れのよい小刻みなギターサウンドが脳をくすぐります。原音をコンセプトにしたイヤホンだけあって、すぐに分かるのは「圧倒的な明瞭さ」です。どこまでも見通し良く、細部に至るまで手に取るように伝わってくるサウンドは、まさに極上…。とくに音数の多い「セブンティーン」で1万円以下のイヤホンと聴き比べてみると、顕著な差が表れました。1万円以下のイヤホンでは、音の分離感が足りず、ぼやけてしまう「畳み掛けるようなスラップベース」も、広大なサウンドステージの中に埋もれることなく、存在感たっぷりに踊っていました。
片耳あたり4.4gと超軽量で、イヤーピースも5種類も付属で付け心地抜群です!
PROFESSIONALモードの感想
80年代~90年代のロック音楽を引き立てる「キラッと抜けの良さ」が特徴的な「PROFESSIONAL 3」で、80年代を代表するロックのカリスマ・ZZトップの「Gimme All Your Lovin’」で試してみます。キャッチーなギターリフが耳に残る往年のナンバー。
正直なところ、よ~く聴かないと「FLAT」との違いは分かりづらいかもしれません。ただ、何度も聴き比べているうちに「音の分離感」が増していることと、音の輪郭がより鮮明になったことに気が付きました。ほかのPROFESSIONALモードも、可能な限り素材(原音)を大事にし、まるでプロの料理人が加える「隠し味」みたいな調整だと思ってもらうといいかもしれません。特定の音域に的を絞った丁寧なチューニングは見事で、繊細な音の違いを愉しめる人にはうってつけなんじゃないかと思います。
まさにプロフェッショナルな仕事の世界。
ノイズキャンセリング&外音取り込みの感想
HA-FX150Tのノイズキャンセリングもチェックしていきましょう。HA-FX150Tのノイズキャンセリングは、一言でいえば「ナチュラル寄り」。最新のAirPods ProやBose QuietComfort Earbuds IIのような、トップクラスのノイキャンイヤホンに比べるとノイズ除去能力としては劣るものの、低音域~高音域まで幅広くノイズを除去。街中の雑踏の「サー(ザー)」という感じの騒音もしっかり抑えられており、実用十分な性能といえます。HA-FX150Tは、イヤホンとイヤーピースの形状で騒音を抑える「パッシブノイズキャンセリング」がよく働くせいか、ノイズキャンセリングをONにしなくても、ある程度の騒音が除去されるみたいでした。
外音取り込み(タッチ&トーク)もいい仕事をしてくれます。簡単なタッチ操作で再生中の音量を自動的に下げ、周囲の音を取り込んでくれるため、買い物でのレジのやり取りの会話もスムーズにこなせました。
自然なノイキャンで耳も圧迫されません♪
まとめ:この価格で有線イヤホン並みの品質。クリアな原音を味わいたい方にオススメ!
HA-FX150Tを買おうか迷っている方は、相当「通」な人なんじゃないかなー、と勝手に想像します。あるいは、3~4万円以上するハイエンドクラスのイヤホンには手を出しにくいが、できる限り音にこだわりたい方。
HA-FX150Tは、まさにそういう方々にうってつけのイヤホンです。コスパがいいといっても、1万円後半するようなイヤホンですから、迷ってしまうのは仕方ないことですが、これは間違いなく「買い」なイヤホンです。一方で、ワイヤレス充電や3Dオーディオ、aptX系コーデックは未対応という感じで、ハイエンドクラスのイヤホンとはそのあたりで差別化されています。
それでも原音に忠実で明瞭感ある音質は、多くの音楽マニアの耳を満足させることができると思います。機能よりも音質重視の方にオススメ。
素材そのものの音が愉しめる、高音質イヤホンです!
以上、ベア三郎でした!
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