近頃はリビングに50インチを超えるテレビを置くケースも珍しくなく、サウンド環境も整えて、ホームシアターを楽しむ方が増えています。
音響面では本格的なシアタースピーカーを組むより、手軽で場所を取らないサウンドバーが大人気。コンパクトながらもテレビのスピーカーに比べ、圧倒的な臨場感が味わえます。
そんなサウンドバーの中でも、横幅わずか60cmと非常にコンパクトで、スペースを気にする方から絶大な人気を集めているのが「YAMAHA SR-C20」です。
価格は執筆時点で15,900円と手頃ながら、豊かな低音を実現するサブウーファーを内蔵し、バーチャルサラウンドをはじめとする様々なサウンドモードにも対応する高機能モデル。
省スペース派には魅力的なサウンドバーですが、1つ上のモデルである「YAMAHA YAS-109」との違いが気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、年間を通じて数多くのサウンドバーを実機レビューしている筆者が、「YAMAHA SR-C20」を実際に使ってみた感想をレビューします。
省スペース派はもちろん、コストを抑えたサウンドバーをお探しの方も、ぜひ参考にしてみてください。
製品の概要と特徴
YAMAHA SR-C20は、2020年10月1日に発売されたYAMAHA史上最少のサウンドバーです。テレビはもちろん、PCモニターの下にも置けるコンパクトなサイズながら、75mmのサブウーファーとパッシブラジエーターを内蔵。
サイズを超えた豊かな低音を実現し、バーチャルサラウンドやクリアボイスをはじめとする多彩なサウンドモードも備えています。
カラーはブラック・ホワイト・レッドの3色展開。スタイリッシュさを演出する上質なファブリックカバーが採用されており、天面にはタッチ式の操作パネルが配置されています。
両端は丸みを帯びたラウンドフォルムとなっており、コンパクトさが際立つデザイン。どんなインテリアにも合う高級感あふれる仕上がりとなっています。
付属品は、リモコン、ACアダプター、光ケーブル(1.5m)、電源コード(1.5m)、壁掛け取付用テンプレート、壁掛け取付用スペーサー(A:2個, B:2個/1シート)、スタートアップガイド、安全上のご注意となっています。HDMIケーブルは付属していませんのでご留意ください。
操作は付属のリモコンのほかに、専用のスマホアプリ「Sound Bar Remote」からも行えます。サウンドバー本体には状態を示すLEDランプしかありませんので、アプリでいまどんな状態なのか分かるのは助かります。
製品仕様
サイズ | 600W×64H×94Dmm(テレビ前置き設置時) 600W×64H×102Dmm(壁掛け設置時スペーサー含む) |
重量 | 1.8kg |
スピーカー | フロントL/R(フルレンジ)4.6cmコーン非防磁型 ×2 サブウーファー 7.5cmコーン非防磁型 ×1 パッシブラジエーター ×2 |
デコーダー機能 | PCM(ステレオ)、ドルビーデジタル、ドルビープロロジックII、MPEG2 AAC(5.1chまで) |
入力端子 | 光デジタル ×2、3.5mm ステレオミニ ×1 |
出力端子 | HDMI ×1(ARC対応) |
Bluetooth | Ver.5.0、SBC・AACコーデック対応 |
サウンド設定 | クリアボイス、BASSエクステンション |
サウンドモード | ステレオ、スタンダード、映画、ゲーム |
その他 | バーチャルサラウンド対応 |
それでは1つ1つの特徴について、さらに詳しく見ていきましょう。
【特徴①】YAMAHA史上最小のサウンドバー
数あるYAMAHAのサウンドバーの中でも、本製品はYAMAHA史上最少。
横幅60cm・高さ6.4cmとスリムボディなので、テレビ用としてはもちろん、高性能なPC用スピーカーとしての利用も想定されたデザインになっています。
PCゲームをプレイする方はもちろん、PCでAmazonプライム・ビデオやNetflixを視聴する方にとって、このサイズ感のサウンドバーは重宝するのではないでしょうか。
YAMAHA YAS-109とサイズ比較してみると、YAMAHA SR-C20のコンパクトさが一目でわかります。
YAMAHA SR-C20 | YAMAHA YAS-109 |
---|---|
600W × 64H × 94D(mm) | 890W × 53H × 131D(mm) |
【特徴②】小さなボディに考え抜かれたスピーカー構成
YAMAHA SR-C20は、コンパクトな筐体に7.5cmのサブウーファーを内蔵。低音専用のスピーカーを上向きに設置し、さらに低音を増幅させるパッシブラジエーターを天面・底面に搭載することで、サイズを超えた拡がりある低音を実現しています。
また、サウンドバーの両端に4.6cmのフルレンジスピーカーを配置し、しっかりステレオ感が味わえるスピーカー構成になっています。フルレンジスピーカーは、その名の通り、低音域~高音域まで幅広くカバーするスピーカー。
参考までにミドルクラスのYAMAHA YAS-109の場合は、フルレンジスピーカー+サブウーファーに加えて、高音域を補強するツィーターを搭載しています。ここはきっちり差別化されていますね。
とはいえ、この価格とサイズでサブウーファーを内蔵しているのは珍しいです。
【特徴③】臨場感あふれるバーチャルサラウンド
サウンドバーの醍醐味と言えばバーチャルサラウンドです。少ないスピーカーを聴覚の錯覚を利用することで、まるで本格的なシアタースピーカー環境を再現します。YAMAHA SR-C20は、YAMAHAが培ってきた独自のバーチャルサラウンド技術が惜しみなく活用されており、左右や中央はもちろんのこと、後方からの効果音を再現する「仮想音場」を形成。まるで映画館のような臨場感あふれる音楽体験を可能としています。
一方、DTS Virtual:XやDolby Atmosと言った最新の3Dサラウンド技術は非搭載のため、天井から降ってくるような音の再現には至りません。ここもYAMAHA YAS-109との差別化が図られています。
わずか横幅60cmのスピーカーとは思えない広々したサウンドステージ。
【特徴④】HDMIケーブル1本でカンタン接続
YAMAHA SR-C20は設置も簡単です。サウンドバーの背面に配置されたHDMI端子とテレビのHDMI端子(ARC対応)をケーブルで接続するだけで完了します。テレビにAmazon Fire TV StickやGoogle Chromecastなどを接続している場合や、テレビに内蔵されているYouTubeやNetflixなどのアプリからのサウンドも、基本的にはこれだけでサウンドバーから音声出力が可能です。
YAMAHA SR-C20のHDMI端子はARCに対応しているため、テレビのリモコンを使ってサウンドバーの音量調整も可能になります。
HDMI端子は斜めに設置されているので、ケーブルを横に流しやすいです。
なお、ARC非対応のテレビの場合は付属の光ケーブルでサウンドバーと接続することになります。YAMAHA SR-C20は光デジタル端子も2系統備えているため、さらに追加のオーディオ機器やゲーム機を直接つなぐことも可能です。
音質についての感想
肝心のYAMAHA SR-C20の音質はどうでしょうか。Amazonプライム・ビデオで「ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪」を視聴してみました。
実際に音を出すまでは、小さな筐体である故に期待していなかったのですが、それはいい意味で裏切られました。初期設定では映画向きのサウンド設定にはなっておらず、Bassエクステンションを有効化する必要がありましたが、サイズ感以上の低音に驚きました。一方、サブウーファーのBassレベルを最大にすると、やや低音が籠る傾向がありました。ここは個人の好みや視聴コンテンツにも依るところですが、恐らくフルレンジスピーカー2基のスペックを凌ぐ低音が出てしまうため、バランスが崩れてしまうのかもしれません。とはいえ、こんなに小さなサウンドバーから出る低音としては、十分合格点です。
また、サラウンド感も左右のフルレンジスピーカーから出ているとは思えない拡がりがあり、YAMAHAの技術水準の高さが伺えます。ロード・オブ・ザ・リングの広大な自然が奏でる鳥のさえずりや、川のせせらぎの音がリアルに体感でき、没入感たっぷりに映画の世界に浸ることができました。シーン中に流れるストリングスを中心とした楽曲もより壮大に聴こえ、美しいコーラスのハーモニーが素晴らしいです。
PCゲームも普段ヘッドホンでプレイすることが多いのですが、実際にゲームモードで遊ぶと1つ1つの音の輪郭が明確になり、これまで不明瞭だった音の低位がハッキリわかるようになりました。サウンドバーで遊ぶゲームはとてもリッチな体験で満足度が高く、ぜひ試してほしいと思います。
まとめ:サウンドバー入門機として買う価値アリ。PCスピーカーとしても優秀!
今回、レビューのためにじっくり体験したことで、発売から約2年が経過した今でも売り上げ上位にランクインし続けている理由が分かりました。サウンドバーとしてはエントリーモデルの価格帯ながら、YAMAHAらしい高音質で臨場感あふれるサウンドに仕上がっているのはさすがだと思います。
低価格帯のサウンドバーをお探しの方は、迷わずYAMAHA SR-C20を選んでもよいのではないでしょうか。また、このサイズのサウンドバーであれば、気軽にモニター下に置けますので、ちょっとリッチなデスクトップ環境を作りたい方にも大変おすすめです。
以上、ベア三郎でした!
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