ハイレゾで聴けるストリーミングサービス全盛の時代。LDACやaptX HDなど高音質コーデックに対応したイヤホンの人気が止まりません。
そんな中、2021年10月に発売されたテクニクス EAH-AZ60は、数あるLDAC対応イヤホンの中でも、音質にこだわりたい多くのリスナーから、圧倒的な支持を集めた名機でした。
あれから、わずか1年と8か月。テクニクスより、EAH-AZ60を超えるフラッグシップモデルとして「EAH-AZ80」が発売されました。
すでに高い完成度を誇るワイヤレスイヤホンの上位モデルということで、高まる期待を抑えきれません。
そんな訳で、今回はテクニクスの新たなフラッグシップモデル「EAH-AZ80」について、使用感を徹底レビューします!
EAH-AZ80の概要
詳しいレビューに入る前に、EAH-AZ80の概要を確認しておきましょう。
EAH-AZ80はPanasonicのハイエンドオーディオブランド「Technics(テクニクス)」から、2023年6月15日された完全ワイヤレスイヤホンです。
同時にAZ60の後継機となる「AZ60M2」も発売され、テクニクスのラインナップはEAH-AZ80 > EAH-AZ60M2 > EAH-AZ40の3つとなりました。
このうち、ノイズキャンセリングとハイレゾに対応しているんはAZ60M2とEAH-AZ80の2つのみ。この2つの機能差はあまり無いですが、EAH-AZ80にはアルミ振動板ドライバーをはじめとする高音質技術が詰まったプレミアムモデルとなっています。
フラッグシップに相応しい外観
EAH-AZ80の外観は、フラッグシップモデルとして所有欲を満たすのに相応しいレベルに仕上がっています。ヘアライン加工されたアルミトップは重厚感があり、どこかノスタルジックなTechnicsの刻印が、ケースにハイエンドオーディオとしての風格を与えています。
テクニクスを代表する「ターンテーブルシステム SL/SPシリーズ」をモチーフにしたハウジングは、根っからの音楽ファンからすると、もはや芸術品。
耳に入れるノズル部分は、人間工学に基づいた新開発の「コンチャフィット」形状を採用。自然なフィット感で、長時間の装着でも疲れにくいデザインになっています。
イヤーピースは、シリコン製の正円タイプが採用されています。周辺部と中心部でシリコンの硬度を変えて最適化することでフィット感と遮音性を両立しているとのこと。
耳の小さな日本人の耳に合うように、特にXSおよびSサイズについては、高さの異なる2種類が用意されています。M / L / XLと合わせて、合計7種類のイヤーピースが付属しているので、すぐに自分の耳に合ったイヤーピースを見つけることができます。
10mmのアルミ振動板ドライバーを採用
EAH-AZ80には、テクニクスが誇るハイエンドイヤホン「EAH-TZ700」(実売価格 約13万円 ※販売終了)で採用されているアルミニウム振動板とフリーエッジ構造を採用した直径10mmドライバーを組み合わせた、とても贅沢な音響構造が採用されています。
高い剛性を誇るアルミ振動板を10mmの大口径ドライバーで十分に振動させることで、フラッグシップモデルの名に恥じない仕上がりとなっています。
業界最強クラスのノイズキャンセリング性能
EAH-AZ80のノイズキャンセリング機能はテクニクス独自のハイブリッド方式となっています。従来モデルから、外側のフィードフォワード処理をさらに進化。
また、AZシリーズの特長とも言えるフィードバック処理のアナログ制御も健在です。デジタルとアナログ処理を巧みに組み合わせることで、高いノイズ除去能力を発揮しつつも、自然で聴き疲れが少ないノイズキャンセリングとなっています。
業界初の3台同時マルチポイント
最近では、スマホ・タブレットだけではなく、パソコンでもYouTubedeを見たり、オンラインミーティングしたりする機会が増えてきました。これまでのマルチポイントでは、2台が限界だったため、3台目のデバイスに接続するときは、Bluetoothのペアリングをやり直すという地味に面倒な作業が必要でした。
・・・それがついに、EAH-AZ80では不要に!!
「業界初の3台同時マルチポイント」に対応し、同時に3台までデバイスを同時接続できるようになりました。さすがに3台まで対応できれば、ペアリングをやり直す機会もかなり減りそうです。
EAH-AZ80の音質
では、皆さんが最も気になる「音質」についてチェックしていきます。イヤホンなので、何と言っても音質が重要です。今回もいろいろなジャンルで時間を掛け、音質をチェックしました。
その中でも、Official髭男dismのミドルテンポのAORナンバー「TATOO」を聴いた感想を元に、音質の評価をお届けします。(なお、コーデックはLDACで確認しました)
この曲は、主役と言っても過言ではないメロディアスなベースが特長なのですが、EAH-AZ80が奏でる低音部の表現力に脱帽しました。力強さと深みを兼ね備えつつも、鮮明に聴こえるベースライン。チープなイヤホンでは埋もれてしまう『小刻みなゴーストノート』もグルーヴ感たっぷりに愉しめます。シンプルなドラムパターンながらも、心地よいバスドラムの裏打ちと相まって、まるでベースが踊っているかのようです。
手元のAirPods Pro2で聴きなおすと、若干ベースが埋もれて聴こえるほど。
また、ボーカルも息遣いまでしっかり再現されており、まるで空気の微細な波動を感じるかのような感覚に。さらに、この曲では控え目なギターやコーラス、キーボードなども程よい分離感があり、織りなすハーモニーが美しいコントラストを描き出しています。
他にもクラシックやジャズ等も聴きこみましたが、総じて、テクニクスが誇るトップクラスの音響技術を惜しみなくつぎ込んだ跡がはっきりと確認できました。
音質は最高っ!!!
EAH-AZ80のノイズキャンセリング性能
冒頭でも触れましたが、EAH-AZ80のノイズキャンセリング機能はハイブリッド方式が採用されています。
印象としては、現行のAirPods Pro2やBose QuietComfort Earbuds IIに匹敵するノイズキャンセリング性能といってもよいでしょう。
さらにEAH-AZ80独自の仕組みとして、デジタルとアナログをうまく融合させた独自のアルゴリズムを使用しているからなのか、強力なノイズキャンセリングイヤホン特有の閉塞感もありません。
また、外音取り込みも非常に自然です。筆者の耳では、イヤホンを外した状態との違いがよく分からないレベルでした。
なお、外音取り込みやノイズキャンセリングのレベルはアプリで細かく調整できます。
ノイズキャンセリング性能も世界トップレベル!!
まとめ:生まれ変わったスペック番長。ついに世界トップレベルに成長!
AZ60の時点で、すでに高い完成度を誇っていたTechnicsのイヤホン。あれから2年も経っていないのに、AZ60M2だけではなく、さらに上回るAZ80も発売するとは驚きでした。
所有感を満たす重厚感あふれる外観に、人間工学に基づいた素晴らしい装着感。何と言っても、世界トップレベルの音質は聴き応え十分です。
ノイズキャンセリング性能も、現時点で最強との呼び声高いBose QuietComfort Earbuds IIに近いレベルに仕上がっていると思いますし、3台同時接続可能なマルチポイントやJustMyVoiceなど、使い勝手を大きく向上させる機能も盛り沢山です。
一方、すべてのLDAC対応イヤホンに言えることですが、車や人が多い環境では接続不安定になることもありました。メーカーのマニュアルに沿って設定を見直しても解消しない場合は、コーデックを変えてみてもいいでしょう。コーデックがAACやSBCだろうと、EAH-AZ80は最高の音を奏でてくれるので、そこはご安心を。
3万円後半と手に取りやすい価格ではないですが、最高のノイズキャンセリングイヤホンをお探しの方は、買って損はないアイテムだと思います。
以上、ベア三郎でした!
製品仕様
項目 | スペック情報 |
---|---|
ドライバーユニット | 直径10 mm |
再生時間(イヤホン本体) | 約7.0 時間(ノイズキャンセリングON、AAC) |
約6.5 時間(ノイズキャンセリングON、SBC) | |
約4.5 時間(ノイズキャンセリングON、LDAC) | |
再生時間(イヤホン本体+充電ケース含む) | 約24 時間(ノイズキャンセリングON、AAC) |
約23 時間(ノイズキャンセリングON、SBC) | |
約16 時間(ノイズキャンセリングON、LDAC) | |
短時間充電時再生時間 | 15 分充電、約70 分(ノイズキャンセリングON、AAC) |
充電時間 | イヤホン:約2.0 時間 |
充電ケース:約2.5 時間 | |
イヤホン+充電ケース(同時充電):約3.0 時間*3 | |
質量 | イヤホン:約7 g(片側のみ:LR同値)、充電ケース:約50 g |
Bluetooth | 周波数帯域:2402 MHz~2480 MHz |
対応プロファイル:A2DP、AVRCP、HSP、HFP | |
対応コーデック:LDAC、SBC、AAC | |
充電ケース | 充電端子USB Type-C 形状 |
付属品 | USB充電ケーブル:約0.2 m |
イヤーピース:XS1、XS2、S1、S2、M、L、XL 各2個(Mはイヤホンに装着) |
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