売れ筋のハイスペックイヤホンは相変わらず高価で、Apple AirPods Proは39,800円、Bose QuietComfort Earbuds IIは36,000円、Sony WF-1000XM4は29,000円と中々の値段です。
そんな中、「ハイスペックなイヤホンが欲しいけど、できるだけ予算を押さえたい…」という、わがままなリクエストに応えてくれるイヤホンLinkBuds Sがソニーから発売中です。
低価格ながら、高い性能と数々の便利な機能を搭載し、コスパ最強のイヤホンとして話題を呼んでいます。LinkBuds Sは、昨年発売されたリング型デザインのLinkBudsの兄弟モデル。ただし、穴のない一般的なデザインに変更されており、どちらかというと、フラッグシップモデルであるWF-1000XM4の廉価版にあたる位置づけみたいです。
この記事では、コスパ最強の呼び声高いLinkBuds Sについて、年間数々のイヤホンをレビューしてきた筆者が、本当に使えるのか徹底レビューします。
購入を迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください!
フラッグシップモデルに匹敵するとウワサは本当…?
LinkBuds Sの特長
まずは、LinkBuds Sの特長から見ていきましょう。LinkBuds Sは、2022年11月4日に発売されたノイズキャンセリング付き完全ワイヤレスイヤホンです。
完全ワイヤレスイヤホンとは、左右のイヤホンがケーブルで繋がれていない、完全に独立したデザインのBluetoothイヤホンのこと。スマホや音楽プレーヤーとワイヤレスで接続し、自由な取り回しの良さが魅力です。
執筆時点での価格は19,000円で、内部にはフラッグシップモデルの「WF-1000XM4」と同じ総合プロセッサー「V1」や新開発の5mmドライバーが搭載されています。また、ノイズキャンセリング機能やLDACコーデック対応のハイレゾワイヤレス伝送も備えており、小型・軽量のボディで長時間の装着でも疲れにくい設計です。さらに、長寿命のバッテリーも搭載されており、最大20時間の音楽再生が可能と、まさに理想的なスペックといえます。
2つの製品の仕様を比べてみました!
製品比較表
LinkBuds S | WF-1000XM4 | |
---|---|---|
参考価格 | 19,000円 | 29,000円 |
重量 | 約4.8 g x2 | 約7.3 g x2 |
型式 | 密閉, ダイナミック | 密閉, ダイナミック |
ドライバーユニット | 5 mm | 6 mm |
マグネット | 高磁力ネオジウムマグネット | 高磁力ネオジウムマグネット |
プロセッサー | 統合プロセッサーV1 | 統合プロセッサーV1 |
デジタル音楽処理技術 | DSEE Extreme | DSEE Extreme |
ノイズキャンセリング機能 | ||
外音取り込み機能 | ||
ハイレゾ対応 | ||
充電方法 | USB-C充電 | USB-C充電、ワイヤレス充電 |
電池持続時間(連続音声再生時間) | 最大6時間(NCオン) / 最大9時間(NCオフ) | 最大8時間(NCオン) / 最大12時間(NCオフ) |
電池持続時間(連続通話時間) | 最大3.5時間(NCオン) / 最大3.5時間(NCオフ) | 最大5.5時間(NCオン) / 最大6.0時間(NCオフ) |
装着検出機能 | ||
防滴性能 | IPX4相当 | IPX4相当 |
通信方式 | Bluetooth標準規格 Ver.5.2 | Bluetooth標準規格 Ver.5.2 |
対応コーデック | SBC, AAC, LDAC | SBC, AAC, LDAC |
2つの製品を比べてみても、LinkBuds SとWF-1000XM4の機能差はほとんどありません。ワイヤレス充電に対応していない点は残念ですが、それを除けば、価格差を考えるとかなり優秀です。なお、本体サイズについては40%も小型化に成功しています。ノイズキャンセリング・ハイレゾ対応モデルとしては世界最小・最軽量で、女性にもつけやすいサイズなったと評判のようです。
スペックはハイエンドモデル並み!
小型でもしっかりイイ音♪
LinkBuds Sには、高磁力ネオジウムマグネットを採用した新開発の5mmドライバーユニットが搭載されています。高い磁気エネルギーにより、ドライバーの振動板に強力な磁場を与えることで、音をクリアにし、応答性にも優れるとされています。
また、WF-1000XM4で好評だったAI技術を活用した「DSEE Extreme」も健在。あらゆる音源をハイレゾ級にアップスケーリングし、臨場感溢れる音質を実現してくれます。
イヤホンの頭脳にあたる統合プロセッサーには、これまたWF-1000XM4と同じ「V1」を搭載し、クリアな音質が特長。専用アプリ「Headphones Connect」を使えばイコライザー調整も可能です。
さらに、LinkBuds Sは「360 Reality Audio」の認定モデルにもなっています。Amazon musicなどの対応ストリーミングサービスでは、立体音響技術を使った音楽体験も楽しめます。
ドライバーサイズは小さめだけど、機能が詰まった本格仕様!実際の感想はこのあとで。
スリムでコンパクトなデザイン
LinkBuds Sはコンパクトで軽量ながら、高い装着安定性と洗練されたデザインを実現しています。専用アプリ「Headphones Connect」でイヤーピースの最適サイズを測定し、フィット感とノイズキャンセリング性能を最適化することができます。さらに、装着安定性を向上させる「エルゴノミック・サーフェース・デザイン」を採用し、女性や耳の小さな方でも快適に長時間装着できる設計になっています。
十分すぎるバッテリー寿命
LinkBuds Sはバッテリーも長寿命です。ノイズキャンセリング機能をオンにした状態でも、本体だけで最長6時間、充電ケースを利用すれば合計最長20時間の音楽再生が可能です。通勤・通学時に平日1日2時間使っても、2週間持ってしまう計算になります。ノイズキャンセリングをオフにした場合には、なんと本体だけで最長9時間、充電ケース込みで最長30時間ものリスニングタイムが実現可能に。
さらに、充電ケースは急速充電にも対応しているため、5分の充電で60分間再生が可能です。これなら、バッテリーが切れてもあわてる必要はありませんね♪
手元で中程度の音量で音楽を連続再生した結果(NCオン)、約5時間50分持ちました!ほぼ仕様通り。
安定したBluetooth接続
LinkBuds Sは、統合プロセッサー「V1」による左右同時伝送方式により、iPhoneやAndroid・PCなど、あらゆるデバイスで高い接続安定性と低遅延を実現しています。さらに、今後のファームウェアアップデートにより、次世代Bluetoothオーディオ規格である「LE Audio」に対応予定なのは楽しみなところ。
また、2台の機器に同時接続できるマルチポイントにも対応し、マルチペアリングにより最大3台までペアリング設定することが可能です。
スマホとタブレットを毎回切り替えずに使えるのは、とても便利!
実際の音質やノイキャン性能をチェック
フラッグシップモデルに匹敵する機能性を備えるLinkBuds Sですが、実際の音質はどうでしょうか。今回も、約2週間にわたり、さまざまなジャンルで徹底チェックしました。
フラッグシップモデルに引けを取らない音質
「Feel So Close」「Summer」などのヒット曲で有名なCalvin Harrisの「Stay With me」をハイレゾで聴いてみました。夏にぴったりな軽快なEDMナンバーで、ファレル・ウィリアムス、ホールジー、ジャスティン・ティンバーレイクなど、そうそうたる顔ぶれが参加した話題曲です。
聴いてすぐに分かるのはLinkBuds Sのサウンドがずば抜けて明瞭だという点。ホールジーの艶やかな息遣いまでクッキリと聴き取れるレベルです。また、EDMのライブ感たっぷりに、壮大なサウンドスケープが頭の中で鳴り響きます。ファンク感たっぷりなベースは粒立ちよく、深みを湛えつつも、自然な低音が楽しめます。
さすがハイレゾというところではありますが、中音域~高音域の解像度も完璧。Stay with meのバックボーンを支えるエア感あふれるカッティングギターのディテールも、まるで手に取るように伝わってきます。
音質については文句なしに最高といえます!
DSEE Extremeは本来、ハイレゾ音源以外の音をアップスケーリングするものだと思いますが、筆者は常にオンにすることをオススメします。もちろん個人の好みによるところなのですが、ハイレゾ音源だとしても、より音が引き締まり、イイ感じの音で聴ける気がします(笑)。
アタック感が強すぎず、全体的にマイルドなのも好印象でした!
ノイズキャンセリング性能も超優秀!
ソニー公式ページによる比較だと、フラッグシップモデルであるWF-1000XM4のノイキャン性能が5つ星とした場合、LinkBuds Sの星の数は4つだそうです。
とはいえ、実際に試した結果としては、LinkBuds SはWF-1000XM4に迫るノイキャン性能でした。統合プロセッサーV1とデュアルノイズセンサーテクノロジーの恩恵は大きく、リーズナブルな価格ながら、高い品質のノイズキャンセリングを実現しています。特に高音域でのノイズキャンセリング性能が素晴らしく、側面に備えられた風ノイズの低減構造により、さらに快適なリスニング環境が提供されます。
LinkBuds Sは、アダプティブサウンドコントロール機能を利用することでユーザーの行動や場所に応じてノイズキャンセリング設定やイコライザー設定が自動で切り替わります。
さらに加速度センサーを活用し、行動シーンに合わせた設定の自動切り替えや、GPS機能を利用した場所に応じた設定の自動切り替えだって可能なんです。
また、LinkBuds Sは外音取り込み機能の向上も目玉機能のひとつです。左イヤホンをタップすることで、簡単にノイキャンと外音取り込みの切り替えが行えます。個人的には、この外音取り込み機能の性能がかなり気に入りました。数あるノイキャン対応イヤホンの中でも随一の自然さで、「ながら聴き」に最適。専用アプリ「Headphones Connect」を使えば、外音取り込みボリュームの調整や、ノイズを抑えつつ人の声を取り込むことができる「ボイスフォーカス」機能のOFF/ONが行え、自分の好みに合わせて調整できます。
まとめ:文句なしの高コスパモデル!フラッグシップモデルに匹敵する性能をお手頃価格で
LinkBuds Sはハイエンドクラスのイヤホンには手が出ないが、音質や機能性を重視したい方にぴったりな製品です。それでも19.000円は高い買い物であることには違いありませんが、LinkBuds Sは確かな品質で音楽ファンの耳でも、きっと満足できるでしょう。
この価格で、同等の機能性を持つほかのイヤホンはそうそう見つかりません。ゼンハイザー CX Plus True Wirelessやテクニクス EAH-AZ70Wあたりがライバル機になりそうですが、後発の利点もあり、LinkBuds Sが頭一つ飛び抜けているのではないかという印象です。
迷ったら、買って損なし!
以上、ベア三郎でした。
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