みなさん、こんにちは。音楽ブロガーのベア三郎(@Music_bearblog)です。
コードもメロディも弾けちゃうピアニストは、野球に例えると、まるで大谷選手のような二刀流の使い手。
その幅広い音域を活かし、セッションはもちろん、ソロだって難無くこなせます。
それだけに、奥深いのがジャズ・ピアニストの世界。ちょっと聴いてみようかなと思っても、『一体どれから聴いたらいいのか分からん!』という方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
という訳で本稿では、初心者にも比較的聴きやすいナンバーを中心に、オススメのジャズ・ピアニストを紹介していきたいと思います。
この機会に、さまざまなタイプのピアニストを聴き比べてみるとイイかも♪
ビル・エヴァンス
一人目にご紹介するのは、1950年代から80年にかけて活躍したモダン・ジャズを代表するピアニスト「ビル・エヴァンス」です。
アメリカ・ニュージャージー州の裕福な家庭に生まれ、幼少期よりクラシック教育を受けました。10代になってジャズに目覚め、大学では音楽を専攻。
その後、徴兵を経て、ニューヨークでジャズピアニストとして活動をはじめます。当時から腕利きだったエヴァンスは、あっという間にジャズファンの間で評判を呼びました。
その噂は、当時からジャズ界を牽引していたトランペット奏者「マイルス・デイヴィス」の耳にも入り、マイルスを代表する名盤「Kind of Blue」の録音に招かれます。
Kind of Blue
マイルスのバンドには、短期間のみの在籍となりましたが、エヴァンスが加わったことで、ジャズに新しいスタイル「モード・ジャズ」が生まれたとされています。
マイルスの「Kind of Blue」は屈指の名盤。ジャズを聴くすべての方にオススメしたい1枚です。
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Waltz for Debby
その後、ベースのスコット・ラファロ、ドラマーのポール・モチアンとピアノ・トリオを結成。それまでのジャズは、トランペットやサックスといった管楽器がフロントマン(花形)で、ピアノはバッキング(裏方)という見方が主流でしたが、エヴァンスはその常識を打ち破ります。
そんなビル・エヴァンス・トリオの「Waltz for Debby(ワルツ・フォー・デビー)」は、今でもジャズを代表する傑作として不動の人気を誇ります。
タイトルにある「デビィ」とは、当時2歳だった姪デビイのこと。2歳の姪にぴったりな、可愛らしいジャズナンバーです。それにしてもビルの片腕と呼ばれるジャズベーシスト、スコット・ラファロのベースが完璧すぎる。。
ビル・エヴァンスなら、1961年のヴィレッジ・ヴァンガードでのライブを収録したこちらのアルバムがオススメ。ボーナス・トラックが4テイク付きなのも嬉しい。
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セロニアス・モンク
セロニアス・モンクは1940年代後半から、1970年頃に掛けて、アメリカで活躍したジャズ・ピアニストです。幼少期に少しだけクラシックピアノを学んでいたようですが、ほとんど独学でピアノをマスターしました。
モンクは天才肌の音楽家で、ちょっと「変な」プレイスタイルで有名です。外れた音を、躓いたようなリズムで演奏するのですが、これがまた天才的なバランスで、聴くものを虜にする不思議な魅力があります。
その才能に気づいたマイルスがアルバム制作に彼を招きますが、個性の強い二人は音楽性が合わず激突。モンクが途中でソロ演奏をやめ、マイルスがトランペットで割り込むという、世にいう「喧嘩セッション」と呼ばれる逸話が残っています。後に、この時の演奏はマイルスの自伝で「喧嘩は無かった」は否定されていますが、「モンクならありそう」と言うイメージがこの逸話を生んだのかもしれないですね。
そんな逸話が残るモンクですが、唯一無二の演奏で、ビバップ黎明期を支えた「ジャズ・ジャイアンツ」の一人として、ジャズの歴史に名を残す存在です。
‘Round Midnight
彼の存在を語る上で、絶対外せない名曲といえば「’Round Midnight」!
セロニアス・モンク作曲のジャズスタンダード屈指の名曲で、1944年に発表されました。叙情性あふれる美しいメロディが、静かに体の隅々まで入ってくるようです。思わずうっとり聴き入ってしまいます…。
モンクは優れた作曲家でもあり、マイルスもその才能を高く評価していました。喧嘩セッション以降は、ほとんど共演することが無かったと言われていますが、マイルスは「‘Round Midnight」をカヴァーして大手レコード会社との契約に成功しています。
セロニアス・モンクなら「ブルー・モンク」「ラウンド・ミッドナイト」「ストレイト・ノー・チェイサー」と言った数々の名曲が修められているこちらのアルバムがオススメ♪
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このアルバムはぜひいいスピーカーでゆったり聴きたいですね!
バド・パウエル
1924年ニューヨーク生まれ。「バド・パウエル」はビバップの立役者として知られ、ピアノ+ベース+ドラムのトリオ構成を初めて取り入れたモダン・ジャズの第一人者です。
ニューヨク出身で、祖父はギタリスト、父と弟はピアニスト、兄はピアニストという音楽一家で育ちます。
同時期に活躍したピアニスト、セロニアス・モンクと交流が深く、モンクから多くの影響を受けました。後期はドラッグとアルコールに溺れますが、鬼気迫る演奏が好評を博し、1940年代後半から60年代前半にかけてアメリカやフランスで活躍。天才の名を欲しいままとしました。
Cleopatra’s Dream(クレオパトラの夢)
「Cleopatra’s Dream」は、1958年に録音されたモダン・ジャズ屈指のアルバム「シーン・チェンジス」の1曲目に収められた名曲です。
何とも言えない緊迫感というか、気迫漂う演奏ですね。同時期に活躍したビル・エヴァンスも「芸術面での完璧さ、唯一無二の創造性、生み出した作品の偉大さといった点をふまえてミュージシャンをひとりだけ選べと言われたら、私はバド・パウエルを選ぶ。彼はずば抜けた存在だ」と言うコメントを残しています。
バド・パウエルといえば、日本で一番人気である「Cleopatra’s Dream(クレオパトラの夢)」を収録したこちらのアルバムがオススメです♪
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デューク・エリントン
「デューク・エリントン」は、1916年のデビューから1974年に亡くなるまで、合計9回のグラミー賞を受賞した、20世紀を代表する音楽家です。
有名なスタンダード曲をいくつも生み出し、ジャズの世界だけでなく、後世の音楽界に多大なる影響を与えました。
また、裕福な家庭に生まれ、その佇まいから「公爵」とも呼ばれていたそうです。
Satin Doll
デューク・エリントンは、自らの楽団「エリントン楽団」を率いるリーダーで、「Satin Doll」や「Carav an」と言ったビッグ・バンド向けの名曲を次々とヒットさせました。
ジャズスタンダードの定番曲である「Take The A Train(A列車で行こう)」もデューク・エリントン楽団が生み出した名曲。きっとどこかで聴いたことがある曲だと思います。
こちらの「The Popular」は、数々のジャズスタンダードを生み出したデューク・エリントンのエッセンスが詰まった名盤。
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マッコイ・タイナー
マッコイ・タイナーは、1938年生まれ、ペンシルバニア州フィラデルフィア出身のジャズ・ピアニストです。13歳の時に母の勧めでピアノをはじめ、すぐにジャズに目覚めたマッコイ・タイナーは、やがて地元のジャズクラブで演奏するように。
そこで近所に引っ越してっきたバド・パウエルと出会い、彼の神がかった演奏に大きく影響を受けたといいます。
1955年にサックス奏者のジョン・コルトレーンと出会い、彼のレギュラー・カルテットで活動をはじめ、その才能が頭角を表します。約5年に渡ってジョン・コルトレーンと活動し、『コルトレーン』『バラード』『至上の愛(A Love Supreme)』『アセンション(Ascension)』など多くの作品に参加。ジャズ・レジェンドと呼ばれたジョン・コルトレーンの代表作を支えました。
その後、コルトレーンがフリー・ジャズに傾倒するのをきっかけに、1965年に袂を分かち、数々のリーダー作品を残しています。
Fly With the Wind(フライ・ウィズ・ザ・ウィンド)
モダン・ジャズの巨匠マッコイ・タイナーによる、1976年録音のとにかくすごい印象に残る1曲。なんともいえない構成美に思わずうなり声をあげてしまう。。
ぜひアルバムを通して聴いて欲しいです!
マッコイ・タイナーのこちらのアルバムは比較的聴きやすく、ジャズの魅力をわかりやすく伝えてくれる名盤です♪
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アート・テイタム
「アート・テイタム」は1909年生まれ、アメリカ・オハイオ州出身のジャズピアニストです。先天的な白内障により、目がほとんど見えていなかったにもかかわらず、驚異的なテクニックを誇り、他を圧倒したとされています。あまりの超絶技巧に、演奏を聴いたジャズ仲間が「ピアノの連弾だと勘違いした」という逸話が残っているほど。
弱冠18歳で地元ラジオ局の専属ピアニストとしてプロデビューした彼は、周囲が心配するほど精力的な活動を見せ、生涯で20枚以上のアルバムを残しています。最期は長年に渡るツアーと、連日深夜に渡るセッションのため倒れてしまい、47歳の若さでこの世を去ってしまいました。
彼のスピードとテクニックにより、ジャズ・ピアノの世界に新たな基準が打ち立てられたことは間違いあありません。セロニアス・モンクやバド・パウエルなど、後世の有名ジャズ・ピアニストが、彼からの影響を公言しています。
Tea For Two
そんな彼の代表曲「Tea for Two」は、元はミュージカル「ノー・ノー・ナネット」の挿入歌。恋人同士が自分たちの将来を思い描くシーンで歌われています。
とっても可愛らしい曲調のジャズピアノなのですが、まるで流れるようなピアノの音。思わずうっとりします。
アート・テイタムなら、1933年から1949年までの演奏を収めたこちらの1枚がオススメ♪熊の手ならぬ、神の手による演奏をどうぞ。
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オスカー・ピーターソン
オスカー・ピーターソンは1940年代後半から2007年まで活躍した、カナダ・モントリオール出身のジャズ・ピアニストです。5歳の頃からピアノを習いはじめ、アート・テイタムやナット・キング・コールが大好きだったと言われています。
明るく軽やかなタッチとは裏腹に、超絶技巧を誇り、「鍵盤の皇帝」とも呼ばれました。
Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)
オスカー・ピーターソンの代表曲「酒とバラの日々」は、あまりにも有名なジャズ・スタンダードナンバーのひとつです。
オスカー・ピーターソンのピアノは、一音一音がはっきりしていて、明るく軽快で、ハッピーな感じに包まれるようで大好きです♪このアルバムは特に初心者にオススメ!
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エロル・ガーナー
エロル・ガーナーは1940年代半ばから、1974年まで活躍したアメリカのジャズピアニストです。
独学でピアノを習得し、左手で刻むビートと右手のメロディが独特のスウィング感を醸し出し、「ビハインド・ザ・ビート」と呼ばれるトリッキーなサウンドを生み出しました。
Misty
エロル・ガーナーの代表曲「Misty」はジャズで最も有名なスタンダード曲の一つとして、さまざまなアーティストに愛され続けている名曲です。
「Misty」は、エロール・ガーナーがふと、移動中の飛行機の中で頭に浮かんだメロディなのだとか。
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ハービー・ハンコック
ハービー・ハンコックは、イリノイ州シカゴ出身のジャズ・ピアニストです。
裕福な家庭に生まれ、音楽好きの父の影響で、幼少の頃はクラシックの教育を受け、なんと11歳のときにはシカゴ交響楽団と共演する天才少年ぶりを発揮していました。
1963年から1968年までマイルス・デイヴィス・クインテットに参加し、帝王マイルスから多大な音楽的影響を受けます。
クインテットでの活躍後も、ジャズとロックを融合させたジャズ・ロックやフュージョンといった、最先端のジャズをこの世に生み出してきました。
ハービー・ハンコックは、モダン・ジャズの牽引役として、ジャズ・シーンを常にリードしてきた存在です。
Watermelon Man
アルバム「Takin off」収録の「Watermelon Man」は、彼を代表する1曲。
ジャズをあまり聴いたこと無い方でも、この曲はどこかで聴いたことがあるはず!
いまどきのエレクトロミュージックに比べると…ですが、ジャズに電子音楽を融合させたインパクトは当時相当なものでした。
いまでは新しいジャズのスタンダード曲として、さまざまなアーティストからカヴァーされています。
ハービー・ハンコックなら、イントロが話題を読んだ「Chameleon」、「Watermelon Man」を含む名盤「Head Hunters」がオススメ♪
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ブラッド・メルドー
ブラッド・メルドーは現代を代表するフロリダ出身のジャズ・ピアニスト。ロックやエレクトロニック・ミュージックをフューチャーした楽曲が多く、オアシスやサウンドガーデン、レディオヘッドなどの楽曲をレパートリーとしています。
Just Call Me Nige
ジャズの新境地を切り開くブラッド・メルドーとマーク・ジュリアナによる、エレクトロニック・デュオ。電子音を存分に取り入れ、現在もっとも影響力のあるジャズ・ピアニストとしての地位を確立しています。
シングル「Just Call Me Nige」を含む、ブラッド・メルドーの傑作アルバム。彼の現代的なエッセンスが詰まったアルバムです♪
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まとめ・感想
最後までお読み頂き、有難うございました!
いかがでしたでしょうか。お気に入りのジャズピアニストは見つかったでしょうか。
ジャズ黎明期から重要なポジションだったジャズピアノは、まさにジャズの歴史そのもの。
今回は、ジャズスタンダードをしっとり聴かせてくれる往年のピアニストから、ハービー・ハンコックやブラッド・メルドーといった、現代を代表するピアニストまでさまざまご紹介させていただきました。
どの時代のピアニストも、魂のこもった素晴らしい演奏で、思わず心を奪われます。
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